我が部の無邪気で冷酷無比な会計係。
見方によっては、どことなくウンナンの内村に似ていなくもない。
冷酷無比。くちごたえするものは
容赦なく斬り捨てる。
その痛烈な台詞の数々はすでに部内伝説化している。
いままで何人の部員が彼の一言にバッサリ斬られたことであろうか。
無邪気。彼の卓球は、
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
そのプレースタイルは対戦相手を未知の世界へいざなう。
彼のワールドへ引きずり込まれてしまった諏訪さんは、
一瞬してそのカウンタースマッシュに葬られたという。
ことごとくわが道をつらぬくタイプで、その何事にも動じない姿勢は見習うべき点が多くある。
朝学校に来て、授業受けて、ゲームして、おかし食べて、卓球して、帰って寝る。
彼なりのこの基本事項に基づき、ただひたすらストレスのない生活を送る村上さん。
ねえ諏訪さん。見習った方がいいですよ?
そんな村上さんのマイペースっぷりは、スキー合宿でもいかんなく発揮された。
そのときはほぼスキーは初めてという状態だった村上さん。篠田氏に基礎を教わり、いざゲレンデに出る。
ここで皆は唖然とした。彼の中の辞書には、
ブレーキという言葉が載っていなかったのである。
ゲレンデのてっぺんから、ふもとのリフト乗り場まで、ただひたすら、まっすぐ、まっすぐ直滑降。
彼は曲がらない、速度も落とさない、とうぜん凄まじいスピードになるわけだが、でも転びもしない。
べつにボーゲンができないとか、そういうわけではないのだが、
直滑降の快感に病みつきになってしまわれたご様子。
村上氏「 キャハハハハハ……。(直滑降中)
―シュゴオオオオオオオォォォ!!(そのまま一気に我々を抜き去る。)
喜多村「 さっき俺らを抜いてったの、村上さん?!
山之内「 もうあのひとにはついてけねえよ!無理だよ!
篠田氏「 あれは……。そのうち誰かをはねるな……。
塚田氏「 よくなににもぶつからずに滑ってますよね……。
神村氏「 あ、諏訪さんころんだ。
その晩、村上さんはいつにもまして早寝であった。